よく知られている節約術の1つに、デパートにある「友の会」を利用するというものがあります。
たとえば、月々1万円積み立てて、1年後に積立額の合計に1か月分をサービスするというものです。元本の12万円に1万円のサービスがついて、合計13万円。
この場合だと利回りは8.3%
一般的な定期預金などと比べれば高利なので、デパートを普段使いするような少し所得が高めの世帯の主婦などに人気があるようです。
百貨店という会社に一定期間お金を預けて、満期後に元本とクーポン券をもらうということになるので、債券投資に近いいうイメージですね。
得られるサービス(クーポン)だけで判断するとお得なような気もしますが、冷静に考えてみると全くそんなことはないことに気がつきます。
今回はこのデパート友の会の是非について、考えてみたいと思います。
【デパート友の会】一般庶民が安易に手を出さないほうがいい理由【3つ】
流動性が犠牲になるうえに、肝心の用途も狭い
当然ながら、得られるものは単なる「買物券」であって「現金」ではありません。該当の百貨店での買い物という制約がある以上、その時点で現金と同じ価値はありません。
つまり、現金利回り8.3%より低価値です。
金券ショップにも売ることができれば多少お金になりますが、残念ながら取扱自体が少ないですし、仮に売れたとしても元本を上回る売却額は出ないようになっているようです(ためしにいくつかの金券ショップの査定額を確認してみましたが、13枚売っても元は取れません)。
そして、このような買い物券を持つことによってさまざまなことを気にしなければならなくなります。有効期限はどうか、おつりはでるのか、紛失したらどうなるか、友の会限定のセールはいつやるのか…手間ばかりがかかって、案外と得られる効用は少ないのではないでしょうか。
また、たとえば家電量販店なんかで買い物をすると、10%程度のポイントが付きます。この例1つを取ってみても、デパート友の会が特別に高利回りとは言えない気もします。
しかも家電量販店のポイントは、即日で再利用できます。大してデパート友の会は、サービス分をもらうために、一定期間の積み立てをしなければなりません。
使い勝手がいいとは、言えないですね。
発行体の信用リスクがある(しかも百貨店の将来は…)
デパート友の会には、発行体の信用リスクがあります。発行体(百貨店)が倒産した場合、元本は保障されません。
いまどきの百貨店は斜陽産業ですし、破綻して困る業界の代表格である銀行や保険会社などと比べても資本力が劣るのは目に見えています。また、銀行のペイオフや、旅行業界における弁済業務保証金制度のように顧客の債権を保護する仕組みもありません。
とくに中堅以下の百貨店が発行するような債券に、どの程度の信用を置けるのか疑問です。
百貨店の信用(経営状態)に応じて友の会の利回りが変わるというのであれば別ですが、今のところそのような商品もなさそうです。
百貨店での買い物がそもそも得ではないという不都合な真実
いまどき百貨店だけでしか手に入らない商品というものは、どれだけあるのでしょうか。東京の一等地にある百貨店でも、ファストファッションや全国チェーン店にテナントとして場所を貸し出さないと経営できない状態です。
当たり前ですが百貨店以外でも販売されている商品であれば、わざわざ割高な百貨店で購入する必要はありません。友の会の利回りなんて、あっという間に吹っ飛んでしまう価格差です。
利用してもいい人の条件
もっとも、完全にこのサービスを否定しているわけではなくて、うまく使いこなせる人もいるかと思います。上記で紹介したようなデメリットが気にならないというのが前提になりますが、以下のような項目に該当する方であれば、検討に値するかもしれません。
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