特別徴収税額決定通知をみて節税の余地を確認しよう
住民税の計算方法
会社から住民税の特別徴収決定通知をいただきました。住民税はとにかく負担感が強い税ですが、税額決定の方法を正しく理解すれば、給与取得者でも節税することが可能です。
特別徴収決定通知の裏面には、細かい字でわかりにくい説明が書かれていたりしますが、ざっくり説明すれば、以下の4つの過程しかありません。
2.課税所得に税率を掛ける(住民税は10%) 所得割額が出る
3.所得割額に均等割額(一定額)を足す 暫定の住民税額が出る
4.暫定の住民税額から税額控除額を引く 確定の住民税額が出る
住民税を下げたければ確定申告は必須
会社で行う年末調整では、所得控除、税額控除の一部しか対応していません。残りの所得控除や税額控除を活用するには、個人での確定申告が必要になります。
よくある誤解として、確定申告は納めすぎた税金(所得税)を取り戻す行為だと理解している人がいます。間違いではないですが、過年度の収入を基準にして決定される住民税の課税額を下げる効果もあります。払いすぎた所得税を取り戻す+これから払う住民税を減らすという2つの効果があることを抑えておきましょう。
所得控除は全部で15種類・フル活用すべし
節税の基本は、所得控除のフル活用です。使える控除は何でも使う。自分には関係ない、使えないと思っているものでも、よくよく調べてみれば適用可能な控除が結構あったりするものです。
所得控除は全部で15種類ですが、比較的対象者が広いと思われるものを色分けしておきます。
- 基礎控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 寄付金控除(ふるさと納税など)
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寡夫控除
- 寡婦控除
- 勤労学生控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
以下では実際に私が活用(適用)した控除を紹介していきます。
給与所得控除
勤め人ですから給与所得控除が認められます。国税庁のHPから確定申告の書類を作成する場合は、自動的に計算してくれるので細かい計算式を意識する必要はありませんが、近年高年収サラリーマンを狙って頻繁に改正(増税)されているので、注意が必要な控除でもあります。
なおこの給与所得控除については、計算式がやや複雑なので、1円単位で正確に算出したい場合は注意が必要です(あまりこだわりがなければ無視しても構わない範囲です)
医療費控除
医療費控除を申請する元となる医療費は、世帯で合算することができます。適用される範囲も意外と広く、条件によっては通院に必要な交通費や、歯の矯正代、も控除の対象となりえます。
我が家の場合は、ほぼ毎年医療費控除を申請しています。控除対象となる医療費の支出記録をエクセルで簡単にまとめて、税務署に提出すればOKです。いまのところ申告した内容について指摘を受けたり、是正を求められたことはありません。
医療費控除には適用には10万円以上の医療費が必要ですが、近年始まったセルフメディケーション税制を使えば、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際の負担額を控除対象にすることができます。セルフメディケーションの場合は、12,000円以上から適用になるので、普段から常備薬として医薬品を購入している方は、適用可能かどうか検討してみてください。
社会保険料控除
厚生年金・健康保険などの社会保険料が全額控除されます。毎月の給料から天引きされていれば、自動的に年末調整の際に調整されています。
過去に未納にしていた国民年金などを納付した場合も控除の対象になるので、追納する場合は節税のチャンスです。
小規模企業共済掛金控除
あまりなじみのない控除ですが、個人型確定拠出年金(iDeCo)への掛金はこの項目で全額控除となります。よく社会保険料控除と混同している場合があるので、注意が必要です。実際に、わたしが職場から年末調整の紙をもらった際、誤って社会保険料控除に算入されていたことがありました(たしかiDeCo導入の初年度でした)。
生命保険料控除
控除の対象となる生命保険に加入している場合は、一定額まで保険料が控除されます。不要な保険に入りすぎるのは問題外ですが、所帯を持っている場合、まったくの無保険というのも現実的ではありません。ただし、控除できる金額自体は大きくないので、控除を目的として保険に加入する価値はないかと思います。
なお生命保険料控除は以下の3種類で構成されています。
- 生命保険料控除
- 介護保険料控除(介護保障・医療保障)
- 個人年金保険料控除
民間の医療保険、個人年金、学資保険などが対象です。年末調整の際に会社に提出することで適用を受けることができます。
地震保険料控除
地震保険に加入している場合は、一定額まで保険料が控除されます。以前は損害保険料控除というさらに広い範囲での適用がありましたが、廃止されてしまいました。控除できる金額自体は大きくありませんが、加入している場合は忘れずに控除しましょう。
生命保険料控除と同じく、年末調整の際に会社に提出することで適用を受けることができます。
配偶者控除
我が家の場合は専業主婦世帯なので、妻の分の配偶者控除を受けることができます。必ずしも専業主婦である必要はなく、一定の収入以下であれば配偶者控除、もしくは配偶者特別控除の適用を受けることができます。
基礎控除
課税者自身に控除がつく控除です。生活している以上、最低でも自分という人間を養っています。国内で所得税を課税される場合には、全員が等しく基礎控除を適用することができます。
税額控除で直接税金を減らす
税額控除は、決定された課税額から直接税金を差し引く控除です。間接的に課税額を下げる所得控除と比べて、効果が大きい控除になります。
寄付金控除
認定団体への寄付や、自治体へのふるさと納税などを行っていれば適用できる控除です。ふるさと納税は、納税者であればだれでも利用できる制度ですから、使わない手はありません。
国(総務省)からの規制もあり、一時期に比べてふるさと納税の返礼品については魅力が薄れてしまっていますが、まだまだ探せばお宝は眠っているというのが実感です。
子どもの通っている学校から寄付を求められたら、寄付金控除の対象になるのか確認してみましょう。親切な学校であれば、学校のほうから案内があるはずです。なお、寄付金控除は年末調整では対応できないので、確定申告をする必要があります。
住宅ローン控除
数ある控除の中でも最強なのが住宅ローン控除です。どのくらい最強なのかというと、この控除で他のすべての控除分以上の節税効果があるほとです。
控除の金額はローンの残債に1%を掛けた金額。仮にローンが3,000万円残っているのであれば、30万円の税額控除を受けられます(ただし住民税には控除額の上限があります)。
昨今の住宅ローンの金利は、変動タイプで1%未満の場合がほとんとです。ほとんどの場合、控除率のほうが上回っている状態ですから、適用期間中は払っている金利よりも帰ってくる税金のほうが高い状態になっています。
初年度だけは確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整での対応が可能になります。とにかく効果が最強なので、対象の方は絶対に申告するようにしてください。
税金が高いと嘆く前に税制を勉強して節税に知恵を絞ろう
確定申告の結果、1年分の住民税は26,000円でした。月あたり2,200円弱になります。ここまで下げることができると、痛税感がだいぶ下がりますね。
社会保険料と違って、税金は知識と適切な申告で下げる余地があります。
繰り返しになりますが使える控除は全部使って、正しい税額を納めるようにしましょう。納税者側から動かなければ、高止まりした税額をそのまま納付することになってしまいます。不親切なシステムだとは思いますが、申告納税制度とはそのようなものだと理解して対処していきましょう。
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