私の資産運用におけるバイブル本は『投資戦略の発想法(木村剛 著)』です。
これまで50回以上は再読しており、金融・投資関連はもちろん、全ジャンルを通じても間違いなく最も読み込んだ一冊です。
世の中には投資本が数多く存在します。インデックス投資の定番として『ウォール街のランダム・ウォーカー』や『敗者のゲーム』が有名ですが、私にとっての原点は今も変わらず本書です。
発売から長い年月が経過し、NISAや新NISAの登場、インデックスファンドの低コスト化など投資環境は大きく変わりました。それでもなお定期的に読み返しているのは、本書が投資商品の選び方ではなく、資産形成の土台となる考え方を教えてくれるからです。
残念ながら続編が出る可能性が極めて低い状況ですが、今日はこの本について深堀りして書いてみたいと思います。
驚くほど慎重で保守的な本

まず、この本の最大の特徴ですが、とにかく驚くほど慎重で保守的な本です。
投資本と聞くと、多くの人は株式投資や投資信託、資産配分や銘柄選びの話を期待すると思います。しかし本書では、なかなか投資の話が始まりません。前半では、収入の範囲で暮らすこと、不要な借入をしないこと、保険を見直すこと、生活防衛資金を確保すること、家計を管理することなどが延々と語られます。
初めて読んだときは、「いつになったら株の話になるんだろう……」と思っていました。
著者が伝えたかったのは、投資はあくまで資産形成の一部であり、その土台となる家計管理や生活習慣が整っていなければ長続きしないということ。つまり、資産形成の成否は投資商品の選択以前に決まっているという真理です。
本書の真価は、投資のテクニックではなく、お金との向き合い方を教えてくれる点にあります。
「収入より少なく使う」という当たり前の重要性
本書の冒頭で強調されるのが、「収入に見合った支出態度を堅持し、不要な借入をしない」という考え方です。
一見すると当たり前です。しかし資産形成において最も重要な原則は、実はこの当たり前の積み重ねなのだと思います。
どれだけ高い運用利回りを追求しても、収入以上に使っていては資産は増えません。投資で年間10%増やすことは難しいですが、生活費を見直して支出を10%削減することは意外と簡単です。
振り返ると、私自身の資産形成も特別な投資判断によるものではありません。収入の範囲で生活し、余剰資金を継続的に投資へ回してきた結果に過ぎません。地味ですが、結局はこうした原理原則を徹底することが一番強いのだと思います。
Grow Rich Slowlyという考え方

本書の中で最も印象に残っている言葉が、「Grow Rich Slowly」、つまり「ゆっくり豊かになれ」という考え方です。
投資の世界ではテンバガーや一攫千金が話題になります。しかし本書が勧めるのは真逆の考え方です。財産形成とは、毎月コツコツ積み立て、長期間継続し、市場に居続けることだと説いています。
私は投資を始めて20年近くになりますが、今日まで資産を増やし続けることができたのは特別な才能ではありません。毎月積み立てるという単純な行動を継続したことです。本書を読み返すたびに、結局はこの考え方に戻ってきます。
生活防衛資金2年分という教え
本書では生活防衛資金として、できれば2年分の生活費を確保することが推奨されています。
正直なところ、若い頃は「そこまで必要なのか?」と思っていました。しかし現在の私は、実際に2年分の生活防衛資金を確保しています。
相場が好調な今でも私は生活防衛資金を重視しています。投資で成功するためには、暴落時に市場から退場しないことが何より重要だからです。
リターンの大部分はアセットアロケーションで決まる
本書では、リターンの大部分はアセットアロケーションで決まるという研究成果が紹介されています。数字については諸説ありますが、「銘柄選びより資産配分が重要」という考え方には今も強く共感しています。
私自身も、投資信託、個別株、債券、現金といった形で分散しています。
過去を振り返っても、どの銘柄を買ったかより、どの資産をどの割合で持っていたかの方が成果に与えた影響は大きかったように感じています。
正直時代遅れになった部分(記述)もある
もちろん、本書の内容がすべて現在でも通用するわけではありません。
例えば、当時はNISAが存在しませんでした。低コストインデックスファンドも現在ほど充実していませんでした。また、住宅購入に対する考え方なども、現在の金利環境や税制とは異なる部分があります。
しかし、それらは枝葉の部分です。
本書が伝えたい本質は、収入の範囲で暮らすこと、生活防衛資金を確保すること、長期で積み立てること、分散投資を行うこと、そして投資家として生き残ることです。
まとめ|私の資産運用の原点は今も変わらない

本書を初めて読んだ頃、私はまだ資産形成のスタートラインに立ったばかりでした。
それから十数年が経過し金融資産は大きく増えましたが、振り返ってみると、その成果の大半は特別な投資判断によるものではありませんし、本書に書かれていた「当たり前だけれど、多くの人が続けられないこと」を実践してきた結果だったように思います。
本書ではこの当たり前のことを続けていく「意志の強さ」もキーワードとして挙げられていました。
投資の世界では、新しい手法や派手な成功談が次々と登場しますがとにかく土台がしっかりとしていない危うい話が多いように感じます。
本来の立ち位置や方向性を見失わないようにしていきたいものです。



























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