【徹底解説】会社員・公務員が確認すべき社会保険料の節約術7選!

節約術
◆ 給料に対する社会保険料の割合が高く負担に感じる
◆ 税金の節税と同じように、社会保険料も節約したい
◆ そもそも社会保険料を節約するメリットは?
 
毎月のお給料から強制的に徴収されてしまうのが、税金社会保険料です。所得にもよりますが、総支給額の2割~3割程度が天引きされています。
 
このうち、税金については別の記事にて会社員・公務員でもできる節税術を解説しました。
 
 

 

今回は社会保険料の節約方法がテーマです。

会社側(雇用主)ではなく労働者側(労働者)の視点に立ち、会社員・公務員が確認すべき社会保険料の節約術7選として解説します。

 

あまり節約の余地がない分野ではありますが、一般知識として確認しておきましょう。

 

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社会保険とは?

社会保険とは、健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、そして労災保険の総称です。

 

健康保険病気やケガ、入院など、保険適用の医療費がかかる際に保障してくれる制度
厚生年金老齢厚生年金、遺族厚生年金、障害厚生年金などの年金給付制度
介護保険介護が必要になった高齢者を社会全体で支える制度
雇用保険労働者の職業の安定、就職の促進、失業予防、失業給付などを行う制度
労災保険業務中・通勤中のの負傷・疾病・障害等に対して必要な給付を行う制度

 

そしてこの社会保険を支えるために毎月お給料から納めているのが、社会保険料です。

このうち健康保険・厚生年金・雇用保険については加入者全員が保険料を負担します。介護保険については40歳以上の加入者、労災保険については事業者が全額を負担します。

 

社会保険料の節約術7選

基本的な前提ですが、社会保険は税金と比べて節約の余地がほとんどありません。税金のように「控除」の概念がないからです。

また社会保険料を節約すると、税金の控除に使える社会保険料控除の枠が小さくなりますし、将来支払われる厚生年金の支給額が減るなどのデメリットがあります。

よって、短期的な手取りが増えてトクですが、長期的に見ると損得がはっきりしなくなります(なにをどれだけ給付するかによるので、長期的には結果論になります)

 

◆ 社会保険料を節約して、現在の手取りを増やす
◆ 社会保険料を多く納めて、将来の受給額を増やす

 

節約すればOKという、単純な分野ではないということです。

 

それでも検討できる部分がいくつかありますので、順に解説していきます。

 

社会保険料完備の会社で働く

社会保険の保険料は労使折半です。よって、雇用者と労働者で半額ずつを負担します。

原則、企業には社会保険への加入義務がありますが、この社会保険料の負担を嫌がって脱法的に加入を逃れる企業が後をたたないのが現実です。

なにせ法律のエキスパート集団が、脱法しているくらいですからね、、、

日弁連会長ら16人、指針に違反か 厚生年金未加入問題

 

こういう企業に勤めてしまうと労使折半のはずの保険料を負担してもらえず、自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。

つまり、自己負担分が減るという社会保険の恩恵を全く享受できません。

稼ぎ方次第では収入が青天井にあるフリーランスであればともかく、雇用関係の中で働く必要がある労働者にとっては踏んだり蹴ったりです。

 

社会保険は国民健康保険よりも保障が手厚いのが特徴です。また配偶者を扶養に入れれば、保険料負担が免除されるのもメリットです。

 

独自の健康保険組合を運営している会社に勤める

健康保険の代表例は多くの企業が加入している政府管掌(協会けんぽ)ですが、大企業などを中心に、独自の健康保険組合を組織している場合があります。

協会けんぽ(全国健康保険協会が運営・中小企業が中心)
組合健保(大企業・もしくは複数社の企業群で構成)

 

社会保険料は労使折半が原則ですが、この組合健保については保険料率を独自に設定することが認められています。

そしてこの保険料率を雇用者が有利になるように設定している組合があります。

つまりそのような企業に勤めれば同じ年収であっても、加入している保険組合によって納める社会保険料を節約できる場合があるということです。

 

協会けんぽの保険料率(東京都・令和2年度・健康保険)

協会けんぽ会社負担 4.92%社員負担 4.92%

 

組合健保の保険料率の一例(健康保険)

味の素健康保険組合会社負担 5.63%社員負担 3.97%
トヨタ自動車健康保険組合会社負担 5.30%社員負担 3.00%
リクルート健康保険組合会社負担 4.15%社員負担 3.85%
日本電気健康保険組合会社負担 4.88%社員負担 3.62%
花王健康保険組合会社負担 5.31%社員負担 3.39%

 

上記は健康保険の例ですが、介護保険についても同様に保険料率が組合ごとに変わってきます。

 

4月~6月はなるべく残業しない

社会保険料の計算のもとになる標準報酬月額は、4月~6月分の給料から計算されます。この標準報酬月額とは、給料の月額を区切りのよい範囲(〇万円~○万円)で区分したものです。

この時期に残業時間などが増えると結果的に収入も増えることになり、社会保険料も多めに徴収されることになってしまいます。

残業で収入が上がる ⇒ 標準報酬月額の区分が上がる ⇒ 社会保険料が上がる

 

よって業務の分量やスケジュールをコントロールできるのであれば、なるべく4月~6月(給与計算の締め日によっては3月~5月)の残業は少なめにしておく方が、保険料の節約につながります。

 

ギリギリで1ランク上の報酬区分に該当すると損した気分に、、、

 

確定拠出年金(企業型)を活用する

確定拠出年金というと、昨今ではiDeCoが取り上げられることが多くなってきました。ただしこのiDeCoは個人型確定拠出年金であり、今回紹介する企業型ではありません。

この企業型の確定拠出年金で掛金を拠出した場合は、社会保険料が安くなります。なぜなら、給与の一部を掛金として拠出することになるからです(掛金部分が給料減額とみなされる)

これが選択制確定拠出年金(選択制DC)と呼ばれる制度になります。また、似て非なるものに、マッチング拠出という制度もあります。

混乱する部分なので、整理します。

選択制確定拠出年金(選択制DC)従業員が受け取る給料や賞与の一部を掛金として拠出する制度
マッチング拠出制度会社が拠出した金額に、従業員が任意で掛金を上乗せできる制度

 

選択制確定拠出年金は社会保険料の節約になり、マッチング拠出制度は掛金が所得控除になるので節税になります。

 

勤め先がどのような年金制度を用意しているか、確認してみましょう。また、企業型の年金制度がある場合でも、個人型(iDeCo)を使う余地はありますので、あわせて検討しましょう。

 

会社の近くに住む

会社から支給される通勤交通費については、税金では一定額まで非課税ですが、社会保険については計算の範囲内とされています。つまり、通勤費が高い会社員は社会保険料も高くなります。

よって通勤費がない、あるいは低いほうが、社会保険料の節約につながります。

 

◆ 会社の近くに住む
◆ 通勤定期券が割安な路線に住む
 
そもそも今回の例とは関係なく、職場と自宅が近いほうが時間的にも体力的にもメリットが大きいのは間違いありません。
 
住職近接が可能であれば、検討してみてください。
 

 

所得税の基準で給与所得にならないものが、なぜか社会保険料の計算では「報酬」とみなされます。矛盾を感じずにはいられません、、、

 

給与所得以外の方法で副業をする

副業での収入は、事業所得もしくは雑所得として区分されます。じつはこれらの副業の収入分に対しては、社会保険料が発生しません。

上記の所得区分で収入を得た場合、総収入に対する社会保険料の割合を減らすことができます

 

本業のみの会社員

◆ 本業で年収500万(給与所得) 社会保険料の対象
 

副業がある会社員

◆ 本業で年収400万(給与所得) 社会保険料の対象
◆ 副業で年収100万(事業所得) 社会保険料の対象外

 

ただしここでいう副業には、Wワークでアルバイトを増やす!ような、単に給与所得を増やすだけのものは含みません。その場合、本業以外からも社会保険を徴収される可能性が出てくるので節約にはつながりません。

効率的に副業で稼ぐ手段がある方にとっては、有効な方法になります。

 

残業代の1万円よりも、副業での1万円を目指そう!

 

社会保険を徹底活用して恩恵を受ける

直接的な社会保険料の節約ではありませんが、社会保険の制度の中で利用できるものがある場合は、積極的に活用していきましょう。

元を少しでも取ることで、負担感を緩和できます。

もっともせっかくの制度ですが多くが申請主義にもとづいていますので、自らが調べて行動(申請)しないと1円ももらえません。

 

高額療養費制度医療費の自己負担額が一定の額を超えた場合に健康保険が負担
埋葬料本人や家族が死亡した場合、葬儀などにかかる費用を補填
教育訓練給付金国指定の教育機関で職業訓練を受講した場合にその費用の20%を雇用保険が負担
出産手当金休業で会社からの報酬が得られない場合に、報酬の3分の2相当を支給

 

保険料を納付しているわけですから、権利者としての意識をしっかりともちましょう。「他人まかせ・会社まかせ・役所まかせ」はダメ!

 

 

まとめ

今回は会社員・公務員が確認すべき社会保険料の節約術7選として、社会保険料の具体的な節約術を解説しました。

生活状況や家族構成によってさまざまな控除が認められている税金(所得税・住民税)と違い、社会保険料には節約の余地がほとんどありません。

社会保険料の納付額は将来の年金受給額にも影響するため、単純に節約=トクとは言えませんが、それでも節約できる手段があるのであれば、検討する価値はあります。

 

  1. 社会保険料完備の会社で働く
  2. 独自の健康保険組合を運営している会社に勤める
  3. 4月~6月はなるべく残業しない
  4. 確定拠出年金(企業型)を活用する
  5. 会社の近くに住む
  6. 給与所得以外の方法で副業をする
  7. 社会保険を徹底活用して恩恵を受ける

 

少子高齢化の進行で今後も社会保険料の負担率は増え続けることが確実です。納付している社会保険料が適正なのかどうか、つねに目を光らせていきましょう。

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