高齢者に免許返納を拒否された場合の現実的な選択肢(結論:都会への転居)

時事(非マネー系)

最近、高齢者の危険運転における事故の報道が相次いています。被害者は様々ですが、どうしても幼児が対象となる事故については、同じ年頃の子どもを持つ身として過剰に反応してしまいます。

個人差はありますが、高齢になると「判断力」「認識力」「動体視力」そしてさまざまな「反応速度」が低下してきます。頭が理解していない…は論外ですが、理解していても体がついていかないということも起こりえるわけで、当然、そういう人については車に乗ってほしくないわけです。

さて、私もダメもとで、地方で生活している両親に「免許の返納について考えてみては?」と進言してみました。しかし結果は(予想どおり)拒否されました。理由は単純で生活の利便性が大きく低下するからです。

 

試しにGoogleマップで両親宅(実家)から、最寄の施設までの徒歩時間を検索してみると…

 

・最寄りのバス停まで12分
・コンビニまで30分
・総合病院まで2時間
・駅まで2時間

 

バス停はともかく、他は日常的に歩いてはいけません。

バス停も12分と出ていますが、健常者の成人が12分という設定のはずなので、高齢者の場合は20分以上かかる可能性もあります。そして20分かけてたどり着いたバス停ですが、そこから市内の中心まで出るバスは1時間に1本程度しか本数がありません。

タクシーを利用するのも手ですが、自宅まで迎車してもらうのに数十分かかりますし、そもそも都会のようにタクシー会社が24時間営業していません。そしてこれ以上の過疎地域になると路線バスすらなくなり、交通手段がデマンドタクシー(乗り合いタクシー)もしくはゼロになります。

田舎は都会と違って地域のつながりが強いので近所の人にお願いして車を出してもらうことはできますが、1度や2度ならまだしも、継続的にお願いするのはそれなりの手間賃を払ったとしても、さすがに心理的な負担が大きいと言えます。遠慮がちになって、出不精になることも想像できます。

なにより自分の都合に合わせて移動できるという自由がなくなるので、利便性の低下は都会暮らしのそれとは比較になりません。

 

・返納したいと思っている人もいるが、代わりの交通手段がない
・自治体や業者もコストが合わないから、交通網の充実化が難しい
・テクノロジー(自動運転)への期待はあるが、実現は当分先

 

…なので結局は免許は仕方なく必要という結論になって終わってしまいます。

 

東京をはじめとした都会の人間が「免許を返納しよう」「返納させよう」というのは簡単ですが、地方の人間には響きませんし、むしろ反感を買うだけです。

 

現実的な選択肢としては、高齢両親にはある程度(最低でも県庁所在地レベル)の都会に転居させることで行政インフラ、交通インフラを確保してもらい、その利便性をもって免許を返納してもらう…という提案をするしかないかと思います。

もちろん住み慣れた田舎を離れたくない、先祖の土地を守りたい…という人もいるわけなのでそんな単純に行く話ではありませんが、幸いなことにうちの両親についていえば、そこまで土地や地域に固執している様子はないので、中期的にはその方向で話をすすめていく方針です。

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