【失敗への予防線】頻出事例7選で学ぶ資産運用に役立つ行動経済学

マネーリテラシー
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行動経済学を知ることで物事を冷静に考えることができる

 

資産運用に関する本を読んでいると、行動経済学の理論が取り上げられていることがよくあります。

経済学で紹介されている価格が決定するプロセスなど、人間はそのつど合理的な行動を取る事になっていますが、実際は全然違います。

安い店よりも近い店で買う、衝動買いをしてしまう、情報がなく高値掴みをしてしまう、バーゲンに飛びついていらないものを買う…など、おおよそ合理的な行動とは程遠い。

実際は、その場の雰囲気、感情、財布に入っている金額の多少、巧みな営業トーク、他人への見栄、生活環境などによって、取るべき行動が変わってしまうものです。

なので教科書通りに価格は決定しません。

こういった経済学の矛盾を解消してくれる手段の1つとして、心理学の要素を取り入れている行動経済学は役立ちます。

行動経済学で示してくれる具体例は、資産運用をするにあたって様々な知見を与えてくれます。

 

 

行動経済学を理解するための基礎知識(頻出用語を抑えよう)

今回は、行動経済学の解説本、ビジネス本で良く出てくる用語を整理してみました。

全部で7つ取り上げたいと思いますが、私なりにどのような具体例が考えらえるのか、自分の経験をもとに書いてみたいと思います。

 

サンクコストの過大視

損失を確定したくないという心理が結果的に将来の行動にマイナスを与えてしまうこと。

私の場合、ギャンブル(もう少しでボーナスが確定しそうなスロット)をしている最中などに、このサンクコスト(埋没費用)を感じることが結構あります。

本を買って、それがどうにもつまらない…と分かった場合も、なんとか最後まで読み切ろうとするのもサンクコストですね。元を取りたい!という心理です。

サンクコストを気にせず、忍耐強く継続して成果が花開く場合もありますが、どうしても成果が出にくいものに対しては、どこかで割り切って(損切り)、別の行動にシフトしたほうが合理的になる場合が多いです。

 

アンカリングの罠

最初の数字(買ったときの価格)が、その後の判断に影響を与えてしまうこと。

代表例は、やはり株取引だと思います。自分が買った銘柄の、買った時点での価格を評価基準にしてしまうことなどはよくあるのではないでしょうか。

ある一時点での価格でしかなく、特別な意味はないはずですがなぜか特別視してしまう。

株だけではなく思い入れがある物を買ったときにも起こってしまう現象だと思います。

 

確実性効果

確実な利益を、不確実な利益よりも重視してしまうこと。

絶対もらえる50万円と2分の1の確率でもらえる120万円。期待値的には後者だけど、ほとんどの人は前者を選んでしまうという現象です。

これはこの心理がわかっていたとしても、やはり前者を選ぶ人が多いのではないでしょうか。

起業やフリーランスに憧れがあっても、だいたいの人はリスクを恐れてサラリーマンを続けてしまうということもあるかと思います。貯金ばっかりで、投資になかなか踏み出せない人も同じですね。

リスクを取らなければリターンは得られませんが、確実性効果が邪魔をして安定を求めてしまうのは大部分の人間の性です。

 

プロスペクト理論

同じリスクでも、利益よりも損失のほうが動揺を大きく感じてしまうこと。

行動経済学でおそらく一番出てくる用語。人間は同じリスク(振れ幅)であっても、利益よりも損失のほうがより大きく感じてしまう(過大に評価してしまう)現象です。

人は無意識に損失を回避しようとする思考が備わっており、同程度のチャンスとリスクが同時に存在するのであれば、リスクに反応した方が安定する、生き残れる、ダメージが少ないと考えてしまう傾向があるということ。

人間というよりも生物としての本能かもしれませんね。

 

認知的不協和

自分にとって心地いい意見ばかりを取り入れ、都合よく解釈する傾向。

自分がしていることに対し、それがまったく間違っていることであったとしても、いろいろと理由を見つけては正しいと思う(思い込もうとする)心理のことです。

 

たばこが健康にわるいと分かっていながらやり続ける

浪費・健康被害・周囲への迷惑…などはっきり言ってやるメリットはほとんどないはずですが、それでも自分の行動を正当化するための理由を考えてしまいます。

 

・たばこで全員が早死にするわけじゃない
・たばこでストレスが解消できる
・たばこ部屋はコミュニケーションに役立つ

 

人にとって認知的不協和は気持ち悪い、居心地の悪い状態なので、なんとかそれを回避しようとして理由付けしてしまうんですよね、、、、

理屈ばっかりで行動しない人なんかも、典型例でしょうか。

 

メンタルアカウンティング

心の中でお金に色をつけて、差別化してしまうこと

日本語だと「こころの会計」ですね。お金の価値は同じ金額であれば全く変わらないはずなのに、なぜかそこに差をつけてしまう心理のことです。

日雇いのアルバイトをして得た1万円と、懸賞で当たった1万円。

入手方法が違うだけで全く価値は同じはずなのに、なぜか後者の1万円を軽く見てしまう人が多いのではないでしょうか。

あぶく銭、悪銭身に付かずの例えは、このメンタルアカウンティングの代表例だと思います。

 

少数の法則

サンプルが少ないにもかかわらずそれを一般化し、規則性を求めてしまうこと。

自分の職場の常識を世間の常識だと勘違いしてしまったり、ある有名人が絶賛していた商品を無条件に信頼してしまったりと、この少数の法則については具体例には事欠きません。

信頼できる数を調査したサンプルよりも、発言力の強い、声が大きい人の意見をうのみにしてしまうことはよくあることです。

また、企業もこの効果を狙って広告戦略、メディア戦略を練っています。

声の大きい少数の意見ではなく、声に出てこない大多数の意見がどこにあるのかを考えることが大切ですね。

 

合理的に行動できないことを知って対策する

人間は感情の生き物であり、決して合理的には行動できません。これは本能に近いようなもので、いくら勉強しても、いくら注意しても直せません。

なので、その弱さを分かったうえで、できるだけの傾向や対策を掴んでおくという姿勢が大事です。

自分は絶対に騙されない! 私はいつも冷静!というのは妄想です。

なぜかというと、そう考えてしまう時点で既に自信過剰の罠(今回は紹介していませんが、これも行動経済学に出てくる用語です)にハマっているから。

 

失敗への予防線を張るためにも、行動経済学については最低限の知識を入れておきましょう。

 

 

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