職場で資産運用の話はでなくても、保険の話は稀に出ることがあります。こういう場面に出くわすと、日本人は本当に保険が好きなんだなと実感します。
そして話題の中心は圧倒的に医療保険が多いのですが、それに次いで学資保険の話題も多いような気がします。反対に生命保険や損害保険の話はあまり出ません。
この学資保険、子育て世帯にとって認知度は高いのですが本当に加入すべき商品なんでしょうか?
ちょっと調べてみると、どうやらソニー生命やアフラックの学資保険の人気が高いようですが(単純に返戻率が高いから?)、それでも返戻率は105%前後です。万が一の場合の保険料支払免除特約を付けると保険料が上がるので、さらに返戻率は下がります。加入は基本的に0歳からでき、満期は18歳か22歳。他の保険会社も適当に調べましたが、ほとんど同じパターンで横並びです(ひどい会社になるとはじめから元本割れが見通せてしまう商品もありましたが…)
私は正直、パンフレットを見たときには早々に「いらないだろ…」と感じました。
少し考えればわかることですが、たとえば満期18年物として考えると、18年かけて元本を5%増やしてくれる(かもしれない)貯蓄型保険ということになるのですが、これのどこに魅力があるのか。
どちらの運用方法にしても学資保険よりは流動性が高いですし、インフレにも抵抗力があります。そして生命保険会社の破綻リスクも気になる。会社が破綻した場合は、生命保険契約者保護機構からある程度は保障されますが、元本の保証がない時点で預金のペイオフのほうが制度として優れていますので、その点も学資保険は劣ります。
単純に積み立てたものを時期に応じて取り崩すだけの金融商品なので、これのどこに保険としての機能があるのかがよくわからないのですが、もっとよくわからないのがこんな商品を売って保険会社の儲けはあるのかということ。
予定利回りを確実に達成させるためには、保険料原資のほとんどを公社債で運用するほかないような気がするのですが、事務経費や人件費等を勘案するとあまり旨みがある商品とは思えません。この学資保険を誘い水に、医療、介護、生命保険に触手を伸ばしていく戦略なのでしょうか?
流動性が大幅に制限される、その割には大した成果が期待できない。この時点で早くも検討外なんですが、この学資保険が前提としている必要経費(学費)というものがそもそもあてにできないのでは?と思います。
基本的に学費は今現在の実績で語られていますが、用意する必要があるのは今の学費ではなく、18年後の学費なわけです。多少なりとも物価は上がっているはずで、今の学費レベルでは足りなくなるのは必然。学資保険で用意しているから安心だ…とは絶対になりません。むしろ、契約が変な油断につながってモラルハザードを引き起こす可能性すらあるのではと思ってしまいます。
子供が生まれたから学資保険!と決めつけるのは思考停止ではないでしょうか。保険料があらかた1万~1.5万の範囲で設定されているのも、児童手当狙いでは?と訝ってしまいます。
手元にお金があると使ってしまう…という意志の弱い人は強制貯蓄効果があるので有効かもしれませんが、常識的な金銭管理ができる人であれば、学資保険は無用の長物だと思います。
コメント
学資保険は良くできた商品だと思いますよ。
実態が貯蓄型保険であっても「学資保険」という名前に意味があると思います。苦しくてもこれだけには手をつけてはいけないという心理面の効果が大きいです。
実際助かっている人も多いと思いますよ。
額は十分ではなくてもバイトや奨学金と組み合わせることで進学そのものを諦めずにすみますからね。
人並みはずれた収入があるなら別ですが、アッパーマス目指していますぐらいの普通の人レベルであれば、
「子供が生まれたから学資保険!」も一般的にありだと思います。
病気や怪我、リストラなど収入を失うリスクは0ではありませんからね。
あなた自信が必要無いということであればご自由にと思いますが。
あなたにとって魅力が無いから「無用の長物」だなんてどうなんですかね?
保険好きの日本人さん
コメントありがとうございます。
考え方は人それぞれなので何とも言えませんが、引っかかったのがこの部分でした。
>病気や怪我、リストラなど収入を失うリスクは0ではありませんからね。
そうです。確かにリスクは0ではありません。
大企業でも業績次第でリストラ、公務員ですら将来安泰ではない。
だからこそ、流動性の確保が重要だと思いませんか?
なぜに低利で流動性を失う学資保険という選択肢が出てくるのか…
正直なところ、この部分がどうしても疑問です。
親(自分)にもしものことがあった場合の為の保険です。
安心を買えるという面もあります。
保険には保険のいいところもあると思うので、利回りだけで投資と比べるのはどうなんでしょう?
確かに流動性も大事ですし、保険会社がつぶれるリスクも背負う(実際には100%は返ってこない)ことになるんでしょうけど。
誤解されているようなので、あと1回だけコメントします。
私はあなたの考えを変えたいわけではありませんので、どうぞご自由になさってください。
かなり頑張っている投資ブログですからね、それなりの内容を期待して読むんですが・・・
今回は自分にとってはこういう理由で必要無いという内容だけで十分だったと思うんですけどね。
利率と流動性だけで判断して「無用の長物」だとか「思考停止」だとか、考えの浅い記事にしか読めなかったです。
学資保険は手数料ぼったくりということも、元本が大きく割れるようなこともほぼ無いと思いますし、メリットもあります。
投資などめんどくさいという普通の人にとりあえずすすめても問題はないでしょうし、
投資をしている人にとっても、守りを固める意味で検討に値する商品でしょう。子どもの人数が多くなればなおさらね。
必要無ければ利用しなければいいだけのこと、存在自体を否定するまでの理由は見つかりません。
>保険好き日本人さん
>ますいっちさん
いまのところこのタイプの保険には何も利点を感じませんが、
私の考えが浅いだけかもしれません。
確かに必要な人がいることは、否定できませんし。
まだまだ勉強が必要ですね…ご意見ありがとうございました。
この記事は他よりもアクセスが多かったので、反響の大きさに驚きました。
比較する2つは性格が違うものだし、家族構成も健康状態も人それぞれなので、貯蓄型保険に投資する人がいてもいいのかなと思っただけです。
自分も投資の方にお金を回したい派ですよーヽ(´―`)ノ
失礼しました。
はじめてコメントします。
僕もこういった資産運用のブログをよむと、学資保険不要なんじゃないかと思いますが、加入する人の気持ちも分からないでもないです。
まず、加入することで強制的に18年以上の積立ができるということ。
次に、将来の学費リスクに(一応)備えるということの2点が大きいと思います。
なんだか、こう書くとインデックス積立投資と似ているものがありますね。もしかしたら、投資に抵抗がある人にとっての、子育てリスク管理術?が学資保険なのかもしれません。だからインデックス投資をされてる方々にとっては、魅力がほぼない商品なんだろうと思います。
満期が18年なので、私立高校へ入学させたり大学入試に備えたりする資金にはならない点や、返還率の低さから、魅力がないとは思いますが、ほったらかしで大学入学以降の学費を貯蓄できるというのが、貯蓄好きの投資嫌いの日本人にすれば有意義なものなんですかね。(世界経済インデックスファンドの債券シフト型とかの方が、よっぽど効率的だろうなぁと思うのは内緒です。)
読んだ知識で実感はないですが、どうやら学資保険というのはその後の巨大な保険契約をさせるための足がかりとするためのもので赤字でも構わないから売る商品のようです。
何しろ一旦契約したら18年だかの長い年月解約できない付き合いが続く訳ですから、その間に色々な手で色んなものを勧めてくるのででしょう。
後、契約途中で親が死んだら残りは払わなくても返戻金はあるといった保険的意味も一応あるものもあるようです。