通常であれば特定口座内で運用している金融商品については、売却時に利益の20%が課税対象となります。実際には少し違いますが、利益が100万円であれば、ざっくり20万円ですね。
話は少し変わって、昨年、定額減税が実施されました。1人あたり4万円、内訳は所得税3万円、住民税1万円というやつです。ちなみに我が家の場合は4人家族なので、16万円の減税でした。
さて、ここ数年の我が家のお金の流れはこのような感じでした。
①給料や賞与から所得税が控除される(年間計20万円程度)
②住宅ローン控除(ローン残高×1%)が発動し、年末に支払った所得税の全額が還付される
③それでも控除額を使い切れないので、確定申告でさらに一部が還付される
④それでも控除額を使い切れないので、その分、翌年の住民税が減税される
ところが、昨年はここに定額減税が加わりましたので、お金の流れが変わりました。
①給料や賞与から所得税が控除されるが、そのうち12万円分については定額減税(所得税)が発動
したため、控除額が減少する(ざっくりと20万円→8万円)
②住宅ローン控除(ローン残高×1%)が発動するが、年末の還付金は当然に8万円
③もちろん控除額を使い切れないので、確定申告でさらに一部が還付される
④それでも控除額を使い切れないので、その分、翌年の住民税が減税される
⑤それでも控除額を使い切れない分があるが、充てるところがなのでそれで終わり
※調整給付金を加味しない場合(これについては後述します)
思考停止で何も動きをとらないままでいると最後は⑤のようになってしまい、住宅ローン控除の恩恵を活かせなくなります(無駄にしてしまいます)。
ここに解決策として、還付させるための税金を発生させる余地が出てきます。この還付発生装置が特定口座の売却であり、仮に利益確定分に対して課税されたとしても、その課税分が住宅ローン控除の限度額内に収まって入れば、確定申告で取り戻すことができます。
よって、最終的なお金の流れは次の通り。。
①給料や賞与から所得税が控除されるが、そのうち12万円分については定額減税(所得税)が発動
したため、控除額が減少する(ざっくりと20万円→8万円)
②住宅ローン控除(ローン残高×1%)が発動するが、年末の還付金は当然に8万円
③特定口座の一部を売却し、税金を発生させる
④控除額を使い切れないので、③の分を確定申告で取り戻す
⑤それでも控除額を使い切れないので、その分、翌年の住民税が減税される
特定口座内のファンドについては、前々から整理したいと思っていましたが、課税の繰延効果との天秤にかけ、躊躇していました。それが上記の通り定額減税の実施により課税分を気にする必要がなくなった(還付されることがわかった)ため、住宅ローン控除の効果が最大限になるラインを計算した上で、必要な分だけ売却しました。
ちなみにここまで読んでいただいた方で、1つの疑問を感じる方がいるかと思います。それは本文中にも出てきた調整給付の存在。
この調整給付は、定額減税で減税しきれない分を給付金としてもらえる仕組みであり、私も過去の住宅ローン控除の利用実績が反映され支給対象者です。実際に、昨年当初給付という形で給付金を受け取っているので、本来であれば上記のような対策を取る必要はないのかもしれません。
ただし、この調整給付金については仕組みが複雑で、私の頭では何度制度を読み込んでも、釈然としない部分がありました。それは、当初の課税内容の修正により給付金の額が減額となる見込みの場合であっても、過給付分の返還は求めないという点です。
実際にここに盲点というか制度の限界があり、実際に手当の二重取りになる方もいるとのことです(もちろん申告内容に虚偽がなければ適法です)。
実際に私が上記のような動きに出た場合に、どのような取り扱いになるのかわからなかったので、興味本位で特定口座を売却してみました。私の中ではこの結果がどうなるかによって、ようやく定額減税の制度全体を理解できる気がしています。
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